1歳児虐待事件 エアガンでさまざまな距離から何度も撃ったか

福岡県田川市で当時1歳の息子にエアガンを何度も発射し、けがをさせたとして両親が逮捕された事件で、息子のあざの状態から、さまざまな距離からエアガンで撃たれたとみられることが捜査関係者への取材でわかりました。

田川市伊加利の自営業、常慶雅則容疑者(24)と、妻の藍容疑者(24)は、去年11月、自宅で、当時1歳で三男の唯雅くんにエアガンを何度も発射し、全治3週間のけがをさせたとして傷害の疑いで6日、逮捕されました。

警察の調べに対し、2人は容疑を否認しているということです。

警察によりますと、自宅から押収されたエアガンはライフル型で、連続発射の機能が付いていたものも含まれていて、弾の大きさは直径が6ミリで、唯雅くんの顔や全身に残されたあざの形状と一致するということです。

警察がこれらのあざについて詳しく調べたところ、至近距離からのものに加え、数メートル離れた場所からのものなど、さまざまな距離から撃たれたとみられるあざがあることが捜査関係者への取材でわかりました。

さらに、古いあざもあるなど、時期についてもばらつきがあるとみられるということです。唯雅くんは事件があった翌月の去年12月、肺炎で死亡しています。

警察は死亡したいきさつを詳しく調べるとともに、2人が日常的にエアガンで撃つなど虐待を繰り返していた疑いもあるとみて捜査しています。

児童相談所 三男への虐待疑わず

田川児童相談所によりますと、唯雅くんが死亡する前、母親の常慶藍容疑者(24)と少なくとも2回、面会しましたが、当時は、長男への虐待が疑われていたため、三男の唯雅くんの様子は確認しなかったということです。

1回目の面会が行われたのは、去年1月で、当時3歳だった長男のほおが腫れているという通報を受けて職員が自宅を訪問しました。

藍容疑者が「遊んでいて壁にぶつかった」と話したことなどから、一時保護は行わず、見守りを続ける対応をとったということです。

2回目の面会は4か月後の去年5月に行われました。
当時、長女を妊娠していた藍容疑者が妊婦検診を受けていないと、保健所から連絡を受けて、児童相談所に呼びました。このとき、児童相談所は唯雅くんの存在については把握していましたが、藍容疑者が連れてきていた長男の様子を確認しただけで、唯雅くんへの虐待は疑わず、面会もしなかったということです。

唯雅くんは、この7か月後の去年12月、死亡しました。

田川児童相談所の都田裕之所長は「虐待をうかがわせる通報も特になかったことから、唯雅くんについて特別に掘り下げて聞かなかった」と話しています。