2月10日~12日にアメリカ・ロサンゼルスで開かれた、チェンジメーカーを自認する女性リーダーたちが全米から集まる会議「ザ・メーカーズ・カンファレンス」(THE MAKERS CONFERENCE)。会場で特に大きな拍手がわき起こり、盛り上がった女性4人の言葉を選び、ご紹介します。米国で女性がいま何に怒り、何に悲しみ、何に元気をもらうのか――そこには、私たちにも通じる「自分らしくあること」への、強い願いがありました。(&w編集部)
(トップ写真はカンファレンス3日めに「SK-Ⅱ」東京2020オリンピックキャンペーン「#NOCOMPETITION」を発表した同ブランドディレクター、チャン・ヨージンさん/Getty Images for MAKERS)
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今年で6回目の開催となる3日間の会議に登壇したのは、大企業の役員、管理職はもちろん、自らビジネスを起業したCEOたち、政治家、大学教授、社会活動家、テレビキャスター、トランスジェンダーの俳優、11歳のスケートボード選手、南アフリカ出身のアルビノ(生まれつき全身の色素がない)のファッションモデル、アフリカ系の詩人、中国系ミュージシャン、同性愛者でラティーノの漫画家、コメディアン……人種や年齢、職業、役職はもちろん、性的指向まで、感心するほど幅広く多様な女性たち、約70人。会社の雇用の多様性(ダイバーシティ)や包括目標(インクルージョン)達成度について一言ずつ報告した女性たちも入れれば、軽く100人を超える。

オープニングセッションで自撮りする、会議の主要メンバーたち。2列目中央のサングラスの女性は1960年代に活躍したジャーナリストで社会活動家のグロリア・スタイネムさん。彼女の人生を追った映画「The Glorias」も、全米に先駆け、この会議でプレミア上映された/Getty Images for MAKERS
会議のキャッチフレーズは、“NOT DONE(やり遂げていない、達成していない) ”。それぞれが、自分たちがまだやり遂げていないことを持ち寄り、語り合い、どう解決できるか共に考えよう。Share the story(物語を共有しよう)。そんなフレーズが繰り返し語られ、みな豊かな身ぶり手ぶりで次々に声を上げる。600人以上の女性たちがそれに応える。かけ声、拍手、そしてスタンディング・オベーション。とにかく会場が熱い。熱いけれども雰囲気は快活で笑いが多く、互いの話に耳を傾け、共感する雰囲気に満ちあふれている。
中でも繰り返し語られたのが、アフリカ系、そして有色人種の女性が働く環境……転職のたびに悪化し、管理職は少なく給料も不平等といった、「まだ成し遂げていない」現状についてだ。特にUCLAとコロンビア大学のキンバリー・クレンショー教授(トップ写真2列目左端)が提唱した、社会の隅に追いやられる人たちが抱える問題――階級、人種、性別、宗教、性的指向など、様々な偏見や差別が重なり合う様子を交差点にたとえ、その困難さを表現する概念「インターセクショナリティー」が紹介された。そういった状況を前提とした上で、特に会場の共感を集めていたフレーズを紹介する。
「大事なことは、あなたを完璧に信頼し理解し、力づけ、あなたのために闘ってくれる女性を見つけること」

オリビア・ワイルドさん(左)。右はニュースキャスターでジャーナリストのケイティ・クーリックさん / Getty Images for MAKERS
オリビア・ワイルド(Olivia Wilde):俳優、監督、プロデューサー、活動家。数多くの映画やテレビドラマに出演し、2019年には初監督作品「Booksmart」を制作した。つい数年前までは、自分はハリウッドという男性主導の集団にいる気持ちだったが、ここ数年は自分を助けてくれた人、協力者やメンターは女性ばかりで、自信を持って女性の集団の中にいるという感じがしているという。「大事なことは、男性に取り入るのではなく、あなたを完璧に信頼し理解し、具体的に力づけ、時にはあなたのために闘ってくれる、メンターとなる女性を見つけることです」
会場では、前日2月9日のアカデミー賞授賞式の話題にも何度も言及。特に今年は女性監督が一人もノミネートされなかったことを始め、女性の生き方をテーマにした映画が、ヒット作を含め軒並み候補に入らなかったことへの批判が多く挙がった。「でも優秀な女性たちが本当にたくさんいる。誰も私たちを止められない。もはやオスカーをとろうがとるまいが、関係ありません」。オリビアさんがそう語ると、会場からは歓声が上がった。
「私たちは誰でも、自分の可能性をフルに生かして働ける場所を得られるのです」

ティナ・チェンさん / Getty Images for MAKERS
ティナ・チェン(Tina Tchen):セクシャルハラスメントに対する運動から2018年に設立された団体「Time’s Up」CEO。オバマ前大統領在任時のアシスタント、同大統領夫人首席補佐官としても知られる。弁護士として、職場のジェンダーの不平等やセクハラ、職場における多様性の欠如など、多くの問題に取り組んできた。会場では明日からすぐできる、「白人男性」主導の会議を変えていく声の上げ方を紹介し、「少しの変化が、文化を変え、大きな変化につながっていく」と語った。
「私たちは、女性、男性、あらゆるジェンダー、LGBTQ、有色人種、障害をもつ人……すべての人が認められ、安全で、威厳があり、自分の可能性をフルに生かして働ける場所を手に入れられるという、歴史的な瞬間にいます。もちろんまだNOT DONE、でもTime is Up、もう終わりにしましょう!」
「赤ちゃんのように泣き、女子のように戦い、女性のように世界を変えよう!」

シンシア・マーシャルさん / Getty Images for MAKERS
シンシア・マーシャルさん(Cynt Marshall):NBAダラス・マーベリックスCEO。AT&Tでの36年のキャリアを経てNBAチームのCEOに。この日は、マーベリックスが進めた、今後のNBA全体の基準となるような多様性を持った雇用計画と、まず最初の100日に実行する行動リストの作り方、取り組みの様子について話したあと、「物事を成し遂げる秘密は、ACT(行動)すること」というフレーズを紹介した。最後に、会場全員にこの日の証しとして“女王のティアラ”が配られ、全員起立。シンシアさんのかけ声に付いて「赤ちゃんのように泣き!」「女子のように戦い!」「女性のように世界を変える!」と誓いを立てた。
「帰ったら5人にこの言葉を伝えてください。そうすれば私たちは必ず、やり遂げることができます!」
イェーーーイ!!!! ティアラをつけた女性600人が声を上げた。
「望まない美の競争から解放されたとき、すべての人が本当に美しい」

チャン・ヨージンさん / Getty Images for MAKERS
チャン・ヨージン(Chang Yoegin):「SK-Ⅱ」ブランドディレクター。韓国出身のヨージンさんが、国際オリンピック委員会(IOC)とパートナーを組んで進める東京2020オリンピックキャンペーン「美は競争ではない(BEAUTY IS #NOCOMPETITION)」の開始を宣言した。
ヨージンさんは、個人的な経験を語りながら #NOCOMPETITION の意味を説明した。韓国では「小顔であごの線が完璧な女性」がよいとされ、丸くてベーグルみたい、と言われる自分の顔が嫌だったこと、整形であごの線を変えようと思ったことがあること……。でもその後、家族の転勤で住んだルーマニアでも南アフリカでも、卵を投げつけられるような差別を経験し、逆に「美のステレオタイプ」について考えるようになった、という。
「私たちは常に何らかのラベルを貼られて判断され、比べられています。様々な、望まない競争に巻き込まれているのです。たとえば中国だと“26歳以上は売れ残り”とか。競争によって、もちろん成長する部分もありますし、いい経験をすることもあります。しかしよくないのは、美をめぐる競争は毒を持ってしまうこと。望まない美の競争から解放されたとき、すべての人が本当に美しいのです」。続いてビデオで、米国体操選手のシモーン・バイルスや日本の石川佳純選手が登場すると、会場からさらに大きな拍手が起こった。
「すべての女性がスーパーヒーローです!(All women are superheroes!)」。
アカデミー賞の授賞式では、作曲賞のプレゼンターをつとめた俳優のシガニー・ウィーバーもそう語り、喝采を浴びていた。すべての女性が偏見や差別、競争を抜け出し、それぞれの形で女性であることを喜び、楽しむ時代。もちろん、まだ、やり遂げていないことはいろいろあるけれど、皆がそれぞれに自分の物語をいとおしんでいいのだ。何度も立ち上がって拍手するアメリカの女性たちを見ながら、そう感じた。
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February 21, 2020 at 10:34AM
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