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道産子の女性スターター 妹はカー娘、小野寺理香さん―オリパラ2020 - 時事通信ニュース

2020年03月11日09時14分

東京五輪で女性スターターを目指す小野寺理香さん=1月29日、札幌市中央区

東京五輪で女性スターターを目指す小野寺理香さん=1月29日、札幌市中央区

 東京五輪で数多く起用される日本人審判。観客が固唾をのんでスタートの瞬間を見守る陸上トラック競技では、北海道北見市の中学校で体育教諭を務める小野寺理香さん(44)の姿が見られそうだ。日本人女性で2人しかいない「スターター」。夢の舞台で号砲を撃つことを心待ちにしている。
 オホーツク海沿いの中学校などで陸上部顧問をしながら、道内の大会で審判をしていた小野寺さん。国際大会への転機は2010年だった。北海道陸上競技協会の推薦で、北京で国際陸連(現在の世界陸連)が催した女性スターターのセミナーに参加したことがきっかけ。18年には五輪の審判資格を取得し、各大会に参加する形で約2年間の研修を受けた。

北海道内の中学生の大会でスターターを務める小野寺理香さん=2007年7月26日、北海道内(小野寺さん提供)

北海道内の中学生の大会でスターターを務める小野寺理香さん=2007年7月26日、北海道内(小野寺さん提供)

 昨年5月に横浜で行われた世界リレー選手権では決勝で大役を務めた。会場が静寂に包まれる中、「世界に自分の声だけが響いたかのような感覚だった」。忘れられない瞬間になったという。
 スターターは少しの違反も見逃さない厳格な印象が強い。その一方で小野寺さんは「いかに良い状態、環境と雰囲気でタイミングよく撃つか。選手のことを一番に考えるのが私たちの仕事」と話す。全選手が静止する瞬間と呼吸を探り、追い風の状況を待つなど、選手たちが好記録を生み出す環境を整えることが大切な役目と心得ている。
 北見市常呂町で高校時代から陸上を始め、大学時代には、教員としての指導に幅を広げるため七種競技に打ち込んだ。妹はカーリングで3度の冬季五輪に出場した小笠原歩さん。「私は運と出会いで生きてきた」と笑う小野寺さんは、夏の五輪に向けて「一生に一度のこと。そのわくわく感を子どもたちに伝えていきたい」。教え子たちにとっても、五輪を身近に感じる最高の生きた教材になるだろう。

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