大阪ニュース
2020年3月21日
「AIDでは生まれたくなかった」−。配偶者ではない第三者の精子を使って人工授精をする「AID」によって生まれたある女性。大人になり結婚し、家庭を持った後で、母親から真実を切り出された。今も自分の存在に対し、どう向き合えばいいのか考えるときがあるという。
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ライフストーリーワークをテーマにしたセミナーで説明を行う才村さん(左)=2月、大阪市内 |
女性の両親が離婚を控えていたときだった。母親から第三者の精子を使ったAIDによって生まれたことを聞かされた。「とにかく子どもがほしかった」。母親は泣き崩れたという。同時に肉親だと思っていた父親と一切の血のつながりがないことを突き付けられた。
当時はショックを受けるより、むしろ「ふに落ちた」。父親はもちろん、母親にも見た目や性格が似ていないとずっと感じていたためだ。告知を聞いた数年後に母親が亡くなり、女性はこう思ったという。「私は母のために“つくられた”。その母がいなくなって私は生きている意味があるの?」
怒り、悲しみ、不信感、不安…、やり場のない感情から不眠症とうつ状態におちいった。AIDで出生したことを知った人から「望まれて生まれたんだからいいじゃない」。こうした無理解にも苦しめられた。女性は長い年月をかけ、気持ちに折り合いをつけようとしてきたという。
振り返ってみて思う。「母への怒りはあります。でも大好きという気持ちもある」。AIDについては「私は賛成ではない。それによって生まれたくはなかったし、精子や卵子を人にあげてもいいのかなと思っています」
過去を整理し、未来に向かって
AIDで生まれた人の生きづらさに寄り添う支援方法として「ライフストーリーワーク」という手法が一部で活用されている。
同ワークはもともと、親からの虐待などの事情で、児童養護施設や里親家庭に預けられた子どもを対象に実践されてきた。生い立ちを整理し、生きる意義を見つけて未来を描けるようにサポーターが支援する手法だ。
この手法がAIDで生まれた人にも応用されている。母親からAIDで生まれたことを告知された女性も同ワークを4年間ほど受けて、「不安や怒りでいっぱいだったが、生きることが肯定的になった」
女性の支援に関わった「精子・卵子の提供により生まれた人のためのライフストーリーワーク研究会」を主宰する帝塚山大非常勤講師、才村眞理さんは「人は自分の『ルーツ』が分からないと生きる根っこがぐらぐらする。ワークによって過去を整理し、未来を考えられるようになる」。
一方、AIDを巡っては、思春期以降に告知された子どもは「生まれてきて良かったのか」と苦しみを抱えると指摘。その上で「親がAIDを選択するときは妊娠や出産がゴールになりがちだが、生まれた子どもがどう感じるかを考えてほしい。生むのであれば、告知は幼い時期にしてほしい」
【ミニクリップ】 AID 非配偶者間人工授精。生殖補助医療の一つで、夫の精子で妊娠できなかった夫婦が第三者の精子を使う人工授精のこと。保険適用はされない。日本では実施に関する法律はなく、日本産科婦人科学会がガイドラインを定めている。Artificial Insemination by Donorの略。大阪ニュース
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March 21, 2020 at 09:15AM
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