スポーツのトップリーグで、女性の審判が男子の試合を担当することはまだまだ珍しい。バスケットボールも例外ではなく、2016年のBリーグ開幕当初は1人もいなかった。それでも、少しずつながら女性審判がB1のコートに立つケースが増えてきた。(松本麻美)
経験10年超 「男も女も関係ない」
2メートルを超える大男たちが全速力で競い合うバスケットコート。身長160センチの小田中涼子さん(32)の小柄さは、ひときわ目立つ。今年2月、男子国内トップにあたるB1の試合を初めて担当した。女性審判として注目されがちだが、「男も女も関係なく、いちレフェリーとして見られたい」と小田中さんは言う。
拡大するB2仙台―越谷戦で、他の審判と話し合う小田中涼子さん(右)=Bリーグ提供
小学校でバスケットを始め、大学までプレー。19歳で審判のキャリアを歩み始めた。審判歴は10年以上。着実に実績を積み重ね、昨夏のユニバーシアード女子決勝で日本人女性として初めて主審を担当した。それでも、初めて経験したB1には圧倒された。「B1は選手がレフェリーに向かってくる圧力やアピールの度合いが、女子の試合と全然違う。5千人の観客からブーイングを受ける経験も他ではなかなかない」
駆け出しの頃、女性であることを理由にヤジを飛ばされることも珍しくなかった。どうしたら選手や監督、観客からの信頼感を得ることができるか。小柄な体格でも存在感を示せるよう、常に姿勢良く立ち、コート映えする判定時の身ぶり手ぶりを研究することは欠かさない。「髪が乱れると疲れているように見えるから」と、試合では髪形をワックスで固めるなど、清潔感も大事にしている。
拡大するB1三河―滋賀戦を担当する小田中涼子さん(右)。他の審判と比べてもひときわ小さい=Bリーグ提供
男性基準以上の体力を維持
男性と変わらない体力の維持にもつとめる。国際審判(国際バスケットボール連盟=FIBA=ライセンス)になるには、シャトルランで男性は86本以上、女性は66本以上が求められるが、小田中さんは100本以上を走るという。
「女性審判は良くも悪くもまだ…
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