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コロナ禍は、女性へのあらゆる暴力を助長している。【UN Women報告書より】 - VOGUE JAPAN

Photo: Diego Donato/EyeEm/Getty

2020年の幕開けと共に、世界は新型コロナウイルスというとんでもない問題に直面することとなった。6月現在、世界の感染者数は600万人を超え、その数字は大きくなるばかりだ。そして、このウイルスは新たな問題を生むだけでなく、これまで見逃されていた格差や社会システムの欠陥といった既存の問題を、ほんの数カ月足らずで次々と浮き彫りにしている。

そうした数多ある問題のひとつが、女性への暴力だ。このほどUN Women(国連女性機関)が発表した報告書「COVID-19(新型コロナウイルス) 女性と女の子に対する暴力」からは、パンデミックによってさらに窮地に立たされる女性たちの現状が浮かんでくる。

外出自粛で増えるDV。

新型コロナウイルスの発生前から、世界では驚くほど多くの女性が暴力の被害者となっていた。例えば、ドメスティック・バイオレンス(DV)に目を向けてみると、過去12カ月で身近なパートナーによる性的・身体的暴力の対象になった女性(15歳から49歳)は、世界で2.43億人にのぼるという。

これがたった1年分の結果であることを考えると、恐ろしい数字だ。だが報告書には、「通報や支援要請をした暴力被害者は40%未満」「警察に助けを求めた女性は10%未満」というさらに恐ろしい注意書きがついている。この数字があくまで氷山の一角に過ぎない可能性は、往々にしてあるだろう。

そして、新型コロナウイルスの感染拡大防止策としてとられたロックダウンや外出自粛令は、この状況をさらに悪化させた。

例えば、フランスでは3月17日のロックダウン開始からDVの報告件数が30%増え、カナダやドイツ、スペイン、英国、米国といった国でもDVの報告件数と緊急シェルターの需要が増加しているという。家という窮屈で閉塞的な環境のもと、不安が家庭内の緊張感や重圧を増幅しているのだ。

外出自粛や情報格差に阻まれる支援の手。

行政が用意した宿泊場所で過ごす被害者の女性とその子ども。ロックダウン中のスペインにて。Photo: Alvaro Calvo/Getty

DVが増える一方で、感染防止策によって女性たちへの支援は平時より届きにくくなっている。報告書は訴える。

「通報手段へのアクセスが制限され、警察、司法、行政等が混乱する中、現状では(平時よりも)さらに救済を求めることが困難となります。これらの混乱は暴力のサバイバーが必要である支援、例えばレイプに関する臨床管理、精神保健、心理社会的支援にも影響があります。犯罪者の不処罰にも繋がります」(そもそも世界の国の4分の1に女性をDVから守る特定の法律がないことも、同報告書は付け加えてる)

支援へのアクセスのしにくさは、国によってはデジタルデバイド(情報格差)にも起因する。多くの国では、支援に繋がるために必要な携帯電話やコンピューター、インターネットへのアクセスが無いか、 暴力の加害者やほかの家族の監視下でそれらを安全に使えない状態にある可能性があるのだ。

一方、インターネットへのアクセスがある女性たちは、以前よりもオンライン上でセクシュアルハラスメントや脅しなどを受けやすくなっている。

例えば欧州刑事警察機構によると、新型コロナウイルスの発生後、児童虐待の画像などを求めるケースが増えているという。また専門家たちは、ストーカーやいじめ、セクシュアル ハラスメント、性的なメッセージの投稿など、さまざまなオンライン上の暴力が増加傾向にあることも報告している。

規制緩和後も残る問題に対処を。

パンデミックはあらゆる形態の暴力を悪化させる。例えばエボラ出血熱のパンデミックでは、人身取引、児童婚、性的搾取・虐待などの暴力も増えたことが調査で明らかになっているという。

さらにこうした感染拡大は、「経済的地位や能力、年齢、ジェンダーなどをベースとした、既存の不平等を増幅させる」と報告書は訴える。もともと不安定な職についている女性たちは経済的に圧迫され、暴力を受けていても経済的な事情で逃げられないという状況を生むかもしれない。さらに、景気低迷からくる経済的・社会的不安によって、女性への暴力が悪化する可能性もある。こうした影響は、たとえ規制や自粛要請の緩和で社会機能が戻り始めたとしても、根強く残るだろう。

UN Womenは同報告書のなかで、各国政府や市民社会組織による取り組みの例もまとめた。ここでは、ホテルをDV被害者のシェルターとして活用しているフランスの例や、薬局で「Mask-19」という暗号メッセージを提示することで加害者に気づかずに暴力を通報できるスペイン・カナリア諸島の例、コロンビアやアルゼンチンが行なっている司法制度の改善例など、13の例が紹介されている。また同報告書は、政府や市民社会組織、国連機関に向けて、今後の行動に向けた提言も行なっている。

女性への暴力は、新型コロナウイルスがやってくるずっと前から蔓延っていた問題であり、わたしたちがウイルスとの闘いに勝ったあとも残る問題だ。ウイルスによって浮き彫りにした現状をわたしたち一人ひとりが見つめ直し、今後の支援策に生かしていくことが求められている。

Text: Asuka Kawanabe

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June 06, 2020 at 10:21AM
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