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(社説)政権と女性 尊厳なければ輝けぬ:朝日新聞デジタル - 朝日新聞社

 すべての女性が輝く社会に。女性活躍の旗を高く掲げる――安倍首相が繰り返した約束である。政権の7年8カ月で変化はどれほどあっただろうか。

 きのう自民党本部であった総裁選の討論会で、各候補は女性支援や男女格差の是正を訴えた。だが、本当に議論を深めるには、これまでの政策の功罪を見すえる必要がある。

 安倍政権の女性をめぐる諸策は総じて、経済主導の側面が強かった。人口減のなかで経済成長するために、女性の労働力を活用する考えが垣間見えた。

 子育て後の再就職・起業支援や育児休業の延長、待機児童解消策などは就業を後押しした。働く女性は昨年、初めて3千万人を超え、就業率はこの8年で6割から7割超になった。

 ただ、その過半数はパートなどの非正規雇用だ。コロナ禍では真っ先に解雇や雇い止めにされ、この4月に減った非正規職97万人(前年比)のうち、7割以上が女性だった。

 5年前に成立した女性活躍推進法は、大手企業や自治体に女性登用の数値目標づくりなどを義務づけた。具体的な行動計画を促した点は評価できる。

 だが政府は、「2020年までに指導的地位における女性の割合を30%程度にする」とした目標を断念し、「20年代の可能な限り早期に」というあいまいな表現で先送りにした。

 最も格差がひどいのは政治分野で、衆院議員の男性9割は世界最低レベルだ。一昨年に候補者男女均等法ができたが、昨年の参院選で候補者全体のうち女性は3割に満たなかった。

 世界経済フォーラムによる男女格差指数によると、8年前に101位だった日本は昨年、121位に後退した。主因は政治の遅れだ。国会議席のクオータ制や罰則なども含め、踏み込んだ検討をする時ではないか。

 問題の根底には、女性の人権を軽んじる文化が根強くある。

 近年も財務事務次官による女性記者へのセクハラや、大学医学部での女子受験者差別などが相次いだ。男女の固定的な役割意識を変えようという、社会的な作業がなされてこなかったことの裏返しだろう。

 選択的夫婦別姓も、世論調査で賛成が反対を大きく上回るなか、安倍政権は保守的な家族観を重視する議員や支持層に配慮し、何も動かなかった。

 暮らしのなかでの格差撤廃、官民の高位ポストへの任用、そして、女性の尊厳を守る社会的合意の形成。こうした旧来の課題が重く残されている。

 次の首相には、確かな変化をもたらす決意を切に求めたい。真のジェンダー平等のもとでしか、女性は輝かない。

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September 10, 2020 at 03:00AM
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