
ヴァージル・アブロー(Virgil Abloh)が「ルイ・ヴィトン(LOUIS VUITTON)」メンズのアーティスティックディレクターに就任してから約2年。4シーズン目となる2020-21年秋冬のルイ・ヴィトンは、ストリート色が薄まり、ドレッシーなスタイルへの回帰が鮮明になっている。
(文:ファッションジャーナリスト 増田海治郎)
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「ずいぶん生真面目なスーツが出てきたなぁ」と思った。前日の「オフ-ホワイト c/o ヴァージル アブロー™(OFF-WHITE c/o VIRGIL ABLOH™)」のテーラードは、ラペルの片側が大きく虫にかじられたように湾曲していたり、身頃に穴が開いていたりして、かなり遊び心に溢れたデザインだった。それとは真逆で、最初から6体目までのスーツは、ボタンのひとつがカフリンクスのような四角形のボタンになっていることを除けば、ビジネスシーンでも役に立ちそうなクリーンで端正な雰囲気だ。
その後もドレッシーなルックが続く。レギュラーカラーのストライプシャツは、共地のタイとセットで提案。ヴァージルのシグネーチャーになりつつあるワンベルトのベストはジャケットにドッキングされ、トロンプイユのようなデザインに発展し、全体を切り刻んだようなカットアウトのテクニックを駆使したスーツやコートも充実している。
一方、バッグと靴は思いっきり遊んでいる。伝統的なスティーマーバッグは、サルバドール・ダリ(Salvador Dali)の「記憶の固執」のように歪んで見えるほか、まるで時空を超えてきたかのようないびつな形状のバッグの数々はシュルレアリスムの世界観を踏襲しているようで、冒頭に登場した生真面目な服とのコントラストを際立たせる。靴は1940年代のアメリカン・ヴィンテージシューズを連想させるスペードソール(トランプのスペードの形)のブーツや、スノーシューのようなパーツやファーで飾られたドレスシューズが主役。今回スニーカーは脇役に徹している。
終盤に入ると、デザイン要素が強めのピースが登場する。シャツを前身頃に貼り付けたようなチェスターコートや、ラペルをフリルで飾ったジャケットは、ストリートというよりはジェンダーレスのイメージが強い。
ラストは「青空と雲」がモチーフのコレクション。服、バッグ、靴はルネ・マグリット(René Magritte)の作品を連想させる爽やかな空のカラーに統一され、会場と同化している。事前に届いたインビテーションには豪華な壁掛け時計が同封され、ショーのコレクションノートには「時計の針を巻き戻して、思春期や子供の視線で世界を見ることは、爽やかな楽観主義に匹敵する」と書かれていた。現代社会は少しシリアスになりすぎている、とヴァージルは考えているのかもしれない。

増田海治郎
雑誌編集者、繊維業界紙の記者を経て、フリーランスのファッションジャーナリスト/クリエイティブディレクターとして独立。自他ともに認める"デフィレ中毒"で、年間のファッションショーの取材本数は約250本。初の書籍「渋カジが、わたしを作った。」(講談社)が好評発売中。
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