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価格破壊が進む薄型テレビ、「視聴スタイルの変化」は有機ELや8Kの“起爆剤”となるか - ビジネス+IT

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本体の価格破壊が進み、動画配信サービスが台頭する中、有機ELや8Kテレビの今後の成長は?

(Photo/Getty Images)


北米の出荷動向は米中貿易戦争の影響で特異に

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IHSマークイット テクノロジー コンシューマーエレクトロニクス部門 エグゼクティブディレクター 鳥居寿一氏
 2019年の全世界におけるLCD(液晶ディスプレイ)テレビ出荷台数は220万台と、フラットな推移となった。画面サイズ別にみると、55インチ薄型テレビのニーズが最も高いが、今後は需要も横ばいになり、長期的には65インチが増加トレンドにある。一方、75インチ以上は価格が高く、需要も中国と北米に限られるため、緩やかに成長していくと予測される。

「現在のテレビ需要は、米中貿易戦争や為替動向の行方に大きく左右される状況だ。ただし、日本においてはテレビの買い替え時期に入っている。4K/8K放送や新元号、消費増税前の駆け込み需要などの好材料によって、東京オリンピック/パラリンピックが開催される2020年までは成長が期待される。しかし、2021年以降は他国と同様に成長も頭打ちになり、残る成長市場はアジアの新興国が中心になるだろう」(鳥居氏)

 北米では関税問題の影響が続いている。TCLやハイセンスといった中国ブランド製品の在庫積み増しが顕在化しており、2019年前半から過剰出荷による価格の大幅な下落が続いた。

「低価格になったことで、第1四半期は50~70インチ薄型テレビの出荷が増加した。第2四半期も駆け込み出荷があり、上振れで過剰在庫が増加している。第3四半期からは在庫調整の局面に向かい、価格低下が断続的に続き、在庫が蓄積するという特異な1年になる見通しだ」(鳥居氏)

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関税上昇前に、中国ブランドによる駆け込み対応があり、米国への輸入が激増した

 中国市場では、薄型テレビの出荷台数が第2四半期から第3四半期で若干減少している。在庫増による価格下落が続き、2019年全体の出荷額はマイナスにならずとも、上振れの可能性も低いとみられる。そのため、メーカーもギリギリまで出荷額を押し上げたいのが本音だろう。

 有機ELテレビに関しては、2019年は全世界で340万台の出荷予測となり、やはり供給もタイトな状況だ。

「これだけ液晶テレビが過剰在庫になり、価格が下がると、有機ELテレビとの価格差が広がり、状況は厳しい。2019年の出荷予測は325万台に下方修正されたが、LGエレクトロニクスの計画も減少しており、パネル価格も下がらないため、このままでは目標達成は困難だ」(鳥居氏)

北米では中国ブランドが躍進、TCLが初めて出荷数ナンバーワンに

 鳥居氏は、ブランド別における薄型テレビの最新出荷状況について、詳細に解説した。2019年は、TCL、ハイセンス、Xiaomi(シャオミ)、Skyworth(スカイワース)といった中国ブランドが中心となり出荷増を計画している。

 TCLは自社ブランドとOEMを合わせて、300万台超を計画しており、Samsung(サムスン)を追いかける展開だ。一方で、サムスンやLGエレクトロニクスも、ここに来てTCLに対抗すべく、規模指向に転じており、出荷量を増加させてシェア獲得を目論む。

 全世界の薄型テレビのシェアは、第1四半期は特に北米を中心にTCL、ハイセンスが伸びている。中国ではシャオミ、スカイワースの出荷が増え、成長している。韓国ブランドの成長はフラットで、ソニーやシャープといった日本ブランドは年度末ということで在庫が縮小され、出荷も減った。

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北米の薄型テレビブランドの出荷台数。中国ブランドのTCLは全世界で3位、北米では1位のシェアを獲得

 具体的な出荷台数を見ると、前出の中国ブランド4社で全世界の約3割(計28%)という大きなシェアを占めた。さらに第1四半期は、米国で初めてTCLが出荷数でNo1に躍り出た。

「TCLは、関税がらみの前倒し出荷や、激烈な価格破壊の影響により、かつてないほど急激な増加を遂げた。65インチの『4K Roku』というスマートテレビ機能を搭載したモデルは、年初から499ドルで売られ、これによりサムスンのテレビが売れなくなり、75インチ以下のサイズも価格を下げざるを得なくなった」(鳥居氏)

 しかし、日本や西欧市場では、中国ブランドはそれほど広まっていない。日本はシャープ、ソニー、パナソニック、東芝の大手トップ4社がシェア80%を占める。この中で、ハイセンスは10周年ということで、日本でも健闘している。一方、西欧ではサムスンLGエレクトロニクス、日本メーカーがシェアを獲得している。中国ブランドは、チャンネル施策やブランド力、価格施策などでハードルが高く、苦戦している状況だ。

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第1四半期以降、65インチの価格破壊により、他社ブランドも全サイズで値下げを余儀なくされた

 続いて、価格面から1インチあたりのテレビ平均単価を地域別にみると、中国市場は他エリアの半分の、1インチ当たり10ドル以下と圧倒的に安い。日本は高付加価値の市場で、価格も中国や北米の約2倍となる平均18ドルだが、さらにソニーは20.2ドルと、インチあたりの単価が世界一高いブランドとなっている。
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1インチあたりのテレビ平均単価。中国市場は大型比率が高いにも関わらず単価は安く、日本は最も単価が高い

 有機ELについては、1インチあたりの平均単価を比べると、中国と北米では、55/65インチの薄型テレビで液晶ディスプレイよりも有機ELのほうが価格が3倍~4倍も高く、まだまだ普及フェーズに入っていないが、日本や西欧市場では、有機ELの性能が評価され、「もともと液晶ディスプレイテレビの価格が高いことも相まって」(鳥居氏)、受け入れらやすい土壌があるという。

【次ページ】「進むも地獄、引くも地獄」の有機ELと、長期的視点が必要な8Kテレビ

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January 23, 2020 at 04:12AM
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