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女性の「パルス型消費」を生む、SNS時代の“直感マーケティング”とは - MarkeZine

Twitterで生まれる「バズコスメ」のトレンド

 2019年3月に掲載した本連載コラム(詳細はこちら)では、Twitterの投稿でコスメが売り切れる事象とその理由についてお伝えしました。この潮流はさらに勢いを増しており、Twitterで情報が拡散されて人気商品となる「バズコスメ」が続々と誕生しています。

 美容メディア「MimiTV」が2019年12月に発表した、「2019年下半期・バズコスメ大賞」(2019年6月~2019年11月にTwitter上でトレンドになったコスメを対象に、MimiTV編集部とMimiTVユーザーの投票により決定)では「エクセル ネイルポリッシュ N」が1位に選ばれました。

 この商品は、繊細なニュアンスカラーと色展開の豊富さ、低価格なのに高品質などの理由からTwitterで話題となりヒットしました。また、1つの投稿を起点に情報が爆発的に拡散したというよりは、複数の美容垢(美容情報を発信するTwitterアカウントを指す造語)からの発信が継続的に行われ評判が醸成されたのも大きな特徴です。これは昨今の「バズコスメ」に共通する傾向といえます。

エクセル ネイルポリッシュの投稿数推移のグラフ

 なお、同大賞のランキングには高価格帯のいわゆる「デパコス」ブランドも含まれており、アイテムも日焼け止めやファンデーションなど様々なジャンルの商品がランクインしました。そのため、「バズコスメ」が若年層や低価格帯商品に限らず幅広い層の間でトレンドとなっていることが伺えます。

「バズレシピ」の影響で商品が売り切れに!?

 一方で、Twitterの投稿が消費行動に与える影響は、美容のみならず食領域にまで広がりを見せています。その火付け役となったのが料理研究家のリュウジさんが提唱する「バズレシピ」。Twitterの140文字に収まるくらいの説明で、簡単に手早く作れるレシピが「バズレシピ」とされ、あるコンビニのPB商品を組み合わせるだけのレシピを紹介したところその商品が売り切れるコンビニが出てくるなど、その情報拡散力と影響力が注目を集めています。

 これまではレシピ紹介には画像が欠かせずテキストの分量も多いため、Twitterは不向きと思われていました。しかし、「バズレシピ」は140文字で完結するほどに簡単なレシピである点、さらに推奨コメントが「旨い」「ヤバい」といったTwitterならではのダイレクトで本音感のある表現である点が「作ってみよう」というユーザーアクションにつながっています。

 また投稿を見て実際にレシピを作った人が、その感想をまたTwitterに投稿するという循環により、さらなる情報拡散とレシピトレンドが生まれているのです。

レシピを含む投稿数推移のグラフ

 「バズコスメ」や「バズレシピ」など、Twitterで美容や食のトレンドが生まれるようになった背景には、「パルス型消費行動」が関係しているのではないかと、私は考えています。

 「パルス型消費行動」とは、2019年6月にGoogleが提唱したもので、スマートフォン上で偶然出会った情報により購買意欲が刺激され、そのまま商品を購入するという消費行動を指します。一定の時間を掛けて購買欲求を醸成していく「ジャーニー型消費行動」と異なるものと定義しています。

 Googleの調査によると現代の日本人の間ではこの「パルス型消費行動」が広がっていることが明らかになっています。このような消費行動の変化が新たなトレンドの発生に影響しているのではないでしょうか。

 また、女性はスペックより感性で消費する傾向にあるため、男性以上にこの「パルス型消費行動」を意識した直感型のマーケティング手法が今後必要となるでしょう。


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