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この人に聞きたいQ&A>女性の現実 思い至らぬ政府 ジェンダー研究・皆川満寿美 中央学院大准教授:埼玉(TOKYO Web) - 東京新聞

「ジェンダーの視点は日本社会を変える鍵だ」と強調する皆川准教授=川口市内で

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 新型コロナウイルス感染拡大の影響は、もともと弱い立場にある人々へ、より深刻な形で現れる。「ジェンダー平等埼玉」共同代表の皆川満寿美・中央学院大准教授は、国の対策がDV被害者ら女性を守れていないとして今月、改善の要請文を研究者らと政府へ提出し、県にも配慮を求めた。コロナ禍が浮き彫りにした女性の生きづらさの根っこを聞いた。(飯田樹与)

 −なぜ要請文を提出したのか。

 女性の現実を考慮しない政府の対策が続いたためだ。二月下旬、安倍晋三首相は学校臨時休校を突然決めた。共働き世帯が多数派なのに、女性が働きづらくなることへ思いが至っていないようだった。

 その後、休校に伴い仕事を休む人へ補償が出ることになったが、その対象から当初、風俗業の女性を外した。報酬の高い風俗業には経済的に厳しく立場の弱い女性も多く働いているのに、分かっていないようだった。

 −国民に一律十万円を配る「特別定額給付金」についても問題を指摘した。

 受給権者を、大半が男性である「世帯主」とし、世帯主の口座に家族全員分を振り込む仕組みにしたために、DV被害の妻らに行き渡らない恐れがある。リーマン・ショック時の定額給付金と同じ間違いを犯している。今回は被害者支援団体が要望し、加害者と別居中の被害者は個別に受け取れるようになったが、同居の被害者は救えていない。

 国は、やろうと思えば投票券のように一人一人に申請書を出す形にもできたはず。迅速性と個人の権利が天秤(てんびん)にかけられてしまった。

 −女性を考慮しない政策が続くのはなぜか。

 政治家や行政の中に、いまだに家庭の中心は男性だという観念がある。住民基本台帳は個人ではなく世帯単位で編成され、「主として世帯の生計を維持する者」を世帯主としてしまっている。さらに、税制面でも配偶者控除など、夫が稼ぎ主で妻はケアを担いながら補助的に働く、という家族の形が続いたままだ。

 結果として女性の働き方はパートなど賃金の安い非正規が多い。緊急事態宣言下でも社会を支えるため不可欠な仕事(エッセンシャルワーク)として注目されたスーパーのレジ打ちや介護、保育なども非正規雇用が多く、女性たちが感染リスクを引き受けながら支えている。

 経済的に苦しい女性が風俗で働くのはその裏返しだ。芸能人が深夜ラジオで、コロナによる女性の生活苦を見込み「収束したら絶対面白いことがある」「美人さんがお嬢(風俗嬢)やります」などと発言したのも、この社会構造を分かっているからだ。

 −構造を変えるには。

 政治や行政、企業にジェンダー平等についての知識や関心のある女性を増やすことが必要。「世界経済フォーラム」が昨年発表した男女格差を示すジェンダーギャップ指数で、日本は百五十三カ国中、百二十一位。先進国と言えない。役所も局長クラスなどで女性は本当に少数派。

 埼玉県はというと、前知事時代から管理職の女性割合を増やす数値目標を明確には掲げていない。きちんとやるべきだ。まずは大野元裕知事に、「特別定額給付金の対象は一人一人である」と、県民に向けて発信してほしい。

    ◇

<みながわ・ますみ> 中央学院大准教授(ジェンダー論)。昨夏の知事選を契機に発足した「ジェンダー平等 埼玉」の共同代表を務める。共著に「復興を取り戻す 発信する東北の女たち」など。県内在住。

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May 25, 2020 at 05:46AM
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