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シリア内戦で男性およびトランスジェンダー女性に対する性暴力 - ヒューマンライツウオッチ

(ベイルート)―シリア内戦で政府軍および非政府武装組織が、男性、少年、トランスジェンダー女性およびノンバイナリーの人びとに性暴力を加えて深刻な身体的・精神的悪影響を与えていること、そして(避難先の)レバノンにおける支援サービスの欠如が事態をさらに悪化させていることについて、ヒューマン・ライツ・ウォッチは本日報告書を発表した。

報告書「『極悪非道に扱われた』:シリア内戦で男性・少年・トランスジェンダー女性が受けた性暴力被害の実態」(全77ページ)は、シリア内戦の勃発以来、男性や少年も性暴力に対してぜい弱な立場にあることを明らかにした 。ヒューマン・ライツ・ウォッチの聞き取り調査に応じた人びとは、ゲイやバイセクシュアルの男性、トランスジェンダー女性、ノンバイナリーの人びとが、実際の性的指向または性自認(または他者から認識された)のせいで、より厳しい暴力にさらされていると訴えた。シリアでトランスジェンダー女性はゲイ男性とみなされて同じ理由で狙われている。

ヒューマン・ライツ・ウォッチのレズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー(LGBT)権利プログラムのフェローで本報告書を執筆したゼイネプ・ピネル・エルデムは、「ゲイおよびバイセクシュアル男性、トランスジェンダー女性、およびノンバイナリーの人びとは、シリア内戦中に『軟弱』とみなされて性暴力の標的にされた、と訴えている」と述べる。「シリアでは、男性と少年も性的指向や性自認に拘わらず性暴力を受けやすい立場にあるが、しばしば問題が表面化することも、性暴力サバイバーが緊急に必要としている支援を受けることもない。」

ヒューマン・ライツ・ウォッチはレバノンで40人のゲイおよびバイセクシュアル男性、トランスジェンダー女性、ノンバイナリーの人びと、およびシリアで性暴力を受けた4人の異性愛者の男性から聞き取り調査を行った。

調査の対象者たちは、「軟弱に見えた」ので、検問所で嫌がらせや性虐待を受けたと語る。 拘禁施設で性的指向や性自認が明らかになると、より厳しい尋問や拷問の対象になったという。また、性暴力はシリア軍内でも起きたことがわかっている。 調査対象者は、レイプや生殖器への暴力、レイプの脅し、ヌードの強制、セクハラの対象にされたと証言した。

サバイバーたちは、羞恥心や恐怖、偏見、医療制度が信頼できないなど多くの理由から、シリアで医療およびメンタルヘルスサービスを模索しなかったと述べた。レバノンに避難したサバイバーたちは、人道支援団体は、男性の性暴力サバイバーのニーズに応えるための資金が不十分で、サービスが限定的で不十分だと訴える。支援者は男性サバイバーに対応する研修を受けていない場合が多く、サバイバーを見下す場合などもあるため、助けを求める人びとの治療の質の低下、再トラウマの原因にもなっている。

サバイバーたちはうつや心的外傷後ストレス、性的トラウマ、希望の喪失、妄想など、さまざまな感情的および心理的症状について詳述。また、直腸や生殖器の激しい痛み、直腸出血、筋肉痛などの身体的苦痛を抱え、HIVをはじめとする性感染症に感染している可能性もある。

2013年、国連安全保障理事会は決議第2106号で初めて、紛争に関連した性暴力が男性や少年にも影響を及ぼすことに言及した。国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)およびAll Survivors Project、the Women’s Refugee Commission、Lawyers & Doctors for Human Rights、the Refugee Law ProjectなどのNGOは、シリア等で、男性と少年に対して行われた性暴力の性質と程度、そして男性サバイバー特有のニーズに関する重要な報告書を提供してきた。

2018年3月、シリア・アラブ共和国に関する独立国際調査委員会が、シリアにおける男性と少年への性暴力に関する詳細な証拠を含む報告書を発表。2019年4月23日に国連安全保障理事会は、男性や少年が紛争中および紛争後に性暴力の標的となる実態に言及する決議第2467号を採択した。 同決議は、サバイバーの医療およびメンタルヘルス支援強化の必要性を認め、そのニーズに基づき、差別されることなく医療および心理社会的ケアにアクセスできることを国連加盟各国が保障するよう要請するもの。

レバノンの人道支援団体およびサービス提供団体は、男性と女性両方の性暴力サバイバーに、メンタルヘルス支援を含む医療サービスを提供すべきだ。ケースマネージャーやソーシャルワーカー、現場の医療従事者などのスタッフに、男性、少年、トランスジェンダー女性の具体的なニーズについて研修を実施する必要がある。

エルデムLGBT担当フェローは、「男性と少年、トランスジェンダー女性は、性暴力のために深い恥、偏見、沈黙を経験する可能性があるのに、危険は少ないという社会的および文化的な固定観念がまだ根強い。これに異議を唱えることが重要だ」と指摘する。「女性と少女のための支援サービス資金を流用する形ではない、こうした人びとのアクセスとケアを確保するための資金が求められている。」

サバイバーの証言抜粋:

ユーセフ(ゲイ男性、28歳)は、シリア諜報機関によって拘禁された。ヒューマン・ライツ・ウォッチの調査に対し、同性愛者のため身柄を拘束されたわけではないが、性的指向が明らかになったあと、尋問中の性暴力が劇的に悪化したと話した:

攻撃性は10倍になりました。 彼らは喜んでそれをやっていた。もちろんレイプしました。 苦しみ、叫んでいるのを見るためだけに。 屈辱を受けているのを見るために。 それが見たいのです。 肛門に棒を挿入してきて、「これが好きなんだろう?」と言いました。胃のあたりまで突かれました。

ナイラ(トランスジェンダー女性、21歳)は、未成年時に中央刑務所で集団レイプされた時のことを証言した:

彼らはモップを持ってきて、柄の部分を私たちの肛門に挿入しました。 ひどく出血し、めちゃくちゃにされたのです。

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July 29, 2020 at 01:00PM
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