＜ベルマーレだより＞湘南スタイルサポーターの力痛感 - 東京新聞

１２日の試合前、スタンドのサポーターに健闘を誓う選手たち＝湘南ベルマーレ提供

　波のように湧き起こる拍手に、心が浮き立つのを抑えられなかった。十二日、平塚市のＢＭＷスタジアムにサポーターが戻ってきた。二月二十一日の開幕戦以来になる。まだ声を出して応援してはいけない。しかし、拍手に宿るエネルギー、そして何より“そばにいる”ということが大きな力となった。

　Ｊリーグは約四カ月の中断を経て、二試合を無観客で開催し、先週末から有観客となった。リーグが定める「新型コロナウイルス感染症対策ガイドライン」にのっとり、厳戒態勢の中で試合を迎えた。

　無観客試合を戦った直後、キャプテンの岡本拓也は「言い訳してはいけないけど、想像以上に難しかった」とつぶやいた。「僕たちの『湘南スタイル』は、選手だけで作り上げているものではない。サポーターの力があってこそ完成するものだと痛感した」

　湘南スタイルは攻守において多くの運動量と、球際に厳しく、常に戦う姿勢が求められる。あと一歩の寄せ、試合終了間際にもスプリントをする頑張りは、サポーターの後押しによって生まれていると言って、言い過ぎではない。

　そして迎えた有観客試合。会場入りするとき、バスの中からサポーターの姿を見た山田直輝は涙が出たと言う。「スポーツは選手だけでは成り立たない」ということを、改めて感じる瞬間だったそうだ。

　試合は互いに攻め合う好ゲームとなり、０−０で勝ち点を分け合った。斉藤未月は「サポーターの存在は大きい」と語った。

　「僕の良さは派手なプレーというよりも、地道にボールを奪ってカウンターに出て行くところ。そういうシーンで拍手が起こると勇気が湧いた。僕自身もそうだし、湘南というクラブ自体がサポーターの皆さんと作り上げているものだと思う」

　人が持つエネルギーのすごさ、応援される心強さをより一層感じながら、ベルマーレは戦っていく。　（遠藤さちえ＝湘南ベルマーレ広報）

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